肥満細胞腫は犬と猫の皮膚や皮下組織でよくみられる腫瘍です
外見は様々で、詐欺師と呼ばれる腫瘍です
珍しく、一般的に猫よりも犬の方が悪性度の高い腫瘍なので、犬を中心に説明いたします
なりやすい犬種はありますが、全ての犬や猫がなる可能性があります
遺伝性があるようですが、飼い方が悪かったとか、食べ物が悪かったとか、極端でない限り、飼い主様の責任ではなく、その子の運命だと思います
肥満細胞腫は体内の肥満細胞が腫瘍化し異常増殖して、しこりを作ったり、リンパ節や全身に転移する病気です
肥満細胞は免疫細胞の一種であり、その細胞中に含まれるヒスタミンの放出によって、いろいろな症状が現れる可能性があります
肥満細胞腫は全て悪性の腫瘍ですが、その悪性度はかなりのバリエーションがあります
そのため、その子の状態を把握するためのいろいろな検査を行い、その状況に応じた治療法が話し合われます(全ての検査が必要なわけではありません)
臨床ステージ分類は初日にほぼ判定できますが、組織の悪性度による分類(組織学的グレード)は、切除した腫瘍組織の病理検査で行われます
ただし病院での針吸引による組織の細胞診断で、ある程度の予測ができます
その子の予後(これからの健康状態と生存日数)は色々な要因によって予測されます
まだ転移していない初期の小さな腫瘍の多くは、適切な外科手術でほぼ根治できます
臨床ステージや組織学的グレードによって、手術の目的や、切除範囲などが変わります
全身の細胞に作用する抗がん剤とは違い、分子標的薬は、特定の分子に的を絞って作用するお薬です
c-kit遺伝子変異のある動物に対して有効ですが、変異がなくても効果がある場合もあります
外科手術後の一般的な治療指針を示しました
ただ、それぞれの状況によって適切な治療法は異なりますので、最終的にはご家族のお考え、ご希望をお聞きして相談の上、治療法を決めていくことになります