リンパ腫は、白血球の一種のリンパ球という免疫細胞が、腫瘍化して無制限に増殖し、しこりや病変を作る病気です
リンパ球は全身に分布していますので、身体中のあらゆる場所にでき、病変が一ヶ所だけでも、腫瘍細胞は全身に広がっています
全て悪性であり、良性はありません
同じリンパ腫でも多くの種類があり、犬で一番多いのは多中心型という、全身のリンパ節が、同時に大きく腫れるタイプです
猫では、以前は白血病ウイルス関連の縦隔型が多かったのですが、室内飼いの猫が増えてウイルス感染の減少とともに少なくなり、現在では消化器型が多いです
それぞれのタイプで治療法が異なりますが、基本的には抗がん剤による治療が主体となります
抗がん剤がよく効いてくれる子は2年以上の生存が可能な場合もありますが、逆に、そういう子は無治療では、生存期間が短いです
全身のリンパ節が大きく腫れたり、内臓に腫瘍細胞が浸潤することによって、また免疫力の低下やがん患者特有の代謝異常による栄養不良などによって、体調が悪化し死亡します
なので、早めにそれらに対する対策としての治療を心掛けます
腫瘍細胞の数が多いほど症状が悪化しますので、数を減らすような(しこりを小さくするように)治療が行われます
その子の予後(その後の健康状態と生存期間)は色々な要因によって予測されます
その子の状態を把握するためのいろいろな検査を行い、その状況に応じた治療法が話し合われます
(全ての検査が必要なわけではありませんが、情報が多いほど治療に対する反応など、予後予測が立てやすいです)
臨床ステージ分類は初日にほぼ判定できますが、組織の悪性度による分類(組織学的グレード)その他は、切除した腫瘍組織の病理検査で行われます
ただし病院での針吸引による組織の細胞診断で、ある程度の予想をつけることができます
リンパ腫の中には、ゆっくりと進行するタイプも存在します(低悪性度・高分化型)
その逆(高悪性度・低分化型)の場合、無治療であれば余命は1ヶ月もありません
この場合は、少しでも早い治療が望まれます