ニャンコの膿皮症

ニャンコの膿皮症 / 長谷川動物病院
 皮膚病がきれいに治ったマオくん / 長谷川動物病院

 

こんにちは、ご無沙汰してました。

スタッフニャンコのマオです。😺

 

僕ね、おでこの所に膿皮症ができたんだけどさ、ニャンコの皮膚病あるあるで、引っ掻いて悪化させちゃったんだよ。😹

 

それでも、抗生物質を飲んでれば早く治ったはずなんだけどさ、僕は体質的に抗生物質を受け付けないの。😿

 

しょうがないからさ、毛刈りしてエリザベスカラーをつけられて、薬用ムース、毎日塗り薬を塗ってもらって。それでやっと治ったってわけ。😸

 

今年のお正月には、生まれて初めて『ネコ風邪』になったし、僕はもうすぐ17歳。だから免疫力が弱くなってるみたいだね。😿

 

でもまあ、無事に元通りになったから、めでたしめでたし。😽

 

そんなわけで、今回は僕がなったニャンコの膿皮症についてのお話です。😺

 

 

膿皮症っていうのは、皮膚の表面にもともといる細菌(常在菌)のうち、主に黄色ブドウ球菌っていう細菌が色々な原因によって皮膚のバリア機能を打ち破って、毛穴とその周りの皮膚に感染を起こした皮膚病のことだよ。

 

高温多湿な梅雨時~夏に多いよ。

 

かゆみや脱毛、皮膚の赤み(炎症や化膿)を引き起こすんだよ。ニキビみたいなものだね。😽

 

感染が起きている場所によって、『表在性膿皮症』と『深在性膿皮症』に分けられるけど、ニャンコってさ、舐めたり引っ掻いたりしちゃうから、実際には区別がなかなかつけられないんだよね。😸

 

ニャンコよりもワンコの方が圧倒的に多いよ。ニャンコは綺麗好きでいつも毛繕いしてるし、ワンコの方がベタベタ肌の子が多いからね。😹

 

ニャンコはむしろ稀で、免疫力の弱い子、アレルギー体質の子、シワ顔の子、毛量の多い子、去勢されていない男の子、僕みたいな脂っぽい皮膚の子だね。😸

 

ニャンコの場合は、おでこ(眉間)、ほお、下あご、口の周り、耳、肉球の周り(爪の根元)、背中、肛門の周り、しっぽの付け根の、ニャンコが臭い付け(マーキング)をする分泌腺(臭腺)や、皮脂腺が集まってる所だよ。

 

ニャンコが撫でてもらって嬉しい場所だよね。😻

 

この部分からはアポクリン汗腺っていう、フェロモンを含んだ粘稠性の油っぽい汗が分泌されてるんだよ。😺

 

皮脂腺もアポクリン汗腺も、毛包(毛穴)に繋がっていて、毛包から分泌物が分泌されて皮膚の表面を覆うことで皮膚を乾燥から保護しているんだよ。ワセリンみたいだね。😸

 

アポクリン汗腺から分泌される粘稠性の分泌物は、その子の体臭のもとになるし、コミュニケーションの役目も果たしているんだよ。😺

 

思い出してみて。僕たちニャンコの初対面の挨拶はお尻の匂いを嗅ぐことだよ。臭いは個人情報で、嗅ぐために変な顔するフレーメン。あんな感じだよ。😽

 

ちなみにもう一つの汗腺、サラサラの水っぽい汗のエックリン汗腺は、ワンコもニャンコもパット(肉球)とその周りにしかないよ(+鼻の周り)。

 

この汗は、恐怖や緊張した時に勝手に出てくるんだよ。だから診察室の診察台の上に、肉球の形に汗の跡を残す子が多いよ。😹

 

人間は体温を下げる働きもするね、ワンコやニャンコは無理だけどね。

 

 

僕はおでこにできたけど、ニャンコの膿皮症は『あごニキビ』が有名だよね。下あごにできる黒いブツブツだよ。😽

 

皮脂腺もアポクリン汗腺も、粘稠性のある分泌物(液)だから、過剰に分泌されれば毛穴を詰まらせやすい。

 

皮脂が増えたり毛穴が詰まると、もともと毛穴や皮脂腺の中にいる嫌気性菌のアクネ桿菌が増えて、炎症を引き起こしちゃう。🙀

 

そして成分が酸化されて変性しても、皮膚の炎症を引き起こすんだよ。紫外線とかストレスの影響とか。😺

 

炎症が起きれば痒いからさ、ニャンコは舐めたり噛んだり、擦り付けたり、引っ掻いたりしちゃうんだよ。僕みたいにね。😹

 

そうやって傷ができて皮膚バリアが破られると、そこから細菌が体の中に入り込もうとして免疫細胞と戦って、その結果、膿ができる(化膿)ってこと。😽

 

 

膿皮症が起きる原因は色々考えられるよ。😺

 

免疫力の低下(高齢、ストレス、持病)

皮脂の過剰分泌(食事、ホルモン異常)

③毛繕い不足(被毛内の換気の悪化)or 過剰なブラッシングやシャンプー

④不適切なフード(脂肪分の過剰 or 不足)

⑤アトピーやアレルギー性疾患

⑥感染症や外部寄生虫(ニキビダニ(毛包虫)、マラセチア、皮膚糸状菌症など)

 

 

僕の場合は、毛繕い不足と免疫力の低下だね。おでこは毛が密集してるしね。😿

 

長毛で下毛が密集しているニャンコは体温や湿度がこもりやすい。ブラッシングをしないと毛玉になって、尚更だよね。

 

ペルシャのニャンコは、顔の皮膚のシワの間に湿気が溜まりやすくて細菌が繁殖しやすいよ。😽

 

口内炎のせいで毛繕いができなかったり、口の周りがよだれで濡れていたり、関節炎せいで痛くて顔を洗えない子もいるかもしれないね。😿

 

下あごは、僕たちもともとペロペロできない場所だしね。その上、ウエットフードを食べたりお水を飲むと汚れちゃう。🙀

 

ニャンコにも、特に油っぽい場所にはニキビダニ(毛包虫)マラセチアがいることがあるよ。感染症があると、皮膚バリアが破られやすくなるんだよ。🙀

 

だけど皮膚の常在菌はとっても大切で、皮脂を分解することで皮膚を弱酸性にしてくれて、アルカリ性好きな黄色ブドウ球菌が増えすぎるのを防いでくれているんだよ。

 

常在菌は体の外にいるけど、大切な皮膚バリアの一部だね。

 

だから洗浄力が強すぎるシャンプーとか、シャンプーのしすぎは禁物なの。😼

 

脂肪分の多いフードはニキビができやすいけど、逆に、脂肪分が少なすぎても(もともと乾燥肌の子は)皮脂が過剰に分泌されて、2次的にベトベト肌になっちゃうこともあるよ。大切なのは、油の種類(品質)と比率だね。

 

ブラッシングやシャンプーのしすぎもおんなじだよ。皮膚が傷ついたり、皮膚の脂分を取りすぎて皮膚バリアを弱めたり、逆に脂っぽくなるかもしれない。🙀

 

洗浄力の強い洗顔料で洗いすぎてニキビを悪化させたり、消毒薬や洗いすぎで手荒れや手湿疹になったり、洗いすぎて腟カンジダ症になった人もいるでしょ?

 

おんなじだよ。『及ばざるは猶過ぎたるより勝れり』何事もほどほどが肝心。😽

 

もちろん、ブラッシングのしなさ過ぎも毛玉ができたり、よくないけどね。😸

 

そして人間の皮膚のpHが『4.8』と弱酸性なのに対して、ニャンコは『6.4』とほぼ中性。だから間違っても、人間用のシャンプーで洗ったりしないでね。😺

 

中性に近いってことは、細菌感染を起こしやすいってことなんだよ。🙀

 

 

僕は毛刈りされて、薬用のムース(ドライシャンプー)で皮脂を取り除いてもらったんだよ。😺

 

僕が使ったのは、写真の緑色のムースだよ。

 

ほんとは洗い流すタイプのシャンプーをしたい所なんだけどね。おでこだったし、ニャンコのシャンプーはなかなか難しいからね。😽

 

ドライシャンプーは、ニャンコの場合は舐めても害のない安心のシャンプーを使ってね。

 

もちろん病院がお勧めする薬用のね。使うシャンプーを間違えると、悪化させちゃうよ。😼

 

 

治療抗菌薬の塗り薬や飲み薬、他に持病があればその治療を並行して行うよ。

 

ニャンコはかゆみだけじゃなくて違和感のある場所を、僕みたいに舐めたり噛んだり引っ掻いたりして、悪化させちゃうことがある。神経質な子は特にね。

 

それが長く続くとね、患部を舐めたり噛んだりすることによって、β-エンドルフィンみたいな脳内麻薬が分泌されちゃうことがあるんだよ。🙀

 

そうなっちゃう(習慣化する)と、舐めたり噛んだりっていう行為をやめさせることが難しくなる。😿

 

だから早い段階から、エリザベスカラーをお勧めするんだよ。(場合によっては+精神安定剤)

 

予防は、もうわかるよね。😸

 

 

 

以上、歳をとって脂っぽさが増して、体全体的に黄色っぽくなってきた僕だけど、『カワイイ❤️』って、言ってもらえるおじいちゃんニャンコを目指してるマオでした。😽

 

  

 

 

※時々お問い合わせをいただくのですが、診察を伴わない個々のご質問にはお答え致しかねます。申し訳ありません。