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ワクチンアレルギー

ワクチンアレルギー / 長谷川動物病院
    空ちゃん / 長谷川動物病院

 

日本でもやっと、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が始まりました。

 

私たち一般人は、年内に接種できるかどうか…というところですが、中には接種を受けたくないという方もいらっしゃるようです。

 

その理由は人それぞれでしょうが、日本の法律ではこのワクチン接種を強制はできませんからね。

 

ところで、4月からワンちゃんたちは狂犬病の予防接種が始まります。

 

新潟市では、昨年は中止された狂犬病の集合注射も、今年は規模を縮小して屋外で感染症対策を行った上で実施されます。

 

狂犬病の予防注射は、『狂犬病予防法』という法律で定められている、犬を飼う人の義務です。

 

診察をした獣医師の『狂犬病予防注射実施猶予証明書』がない限り、飼い主様がご自身の判断で予防接種を受けさせないという選択はできません。

 

高齢などの理由により接種が心配な飼い主様は、かかりつけの先生にご相談くださいませ。

 

新型コロナのワクチンも、狂犬病のワクチンも、混合ワクチンも、皆様が心配されているのはおそらくワクチン接種後の副反応(ワクチンアレルギー)ではないでしょうか?

 

ワクチン接種の目的は、感染症に対抗する免疫を作ることです。

 

これによって接種した本人(動物)だけでなく、社会全体の恩恵(コロナであれば重傷者や死者数の減少、社会活動全般の回復など)が期待されます。

 

ワクチンアレルギーのほとんどは、ムーンフェイスなどの局所的なアレルギー反応で、命に関わるようなものではありません。

 

でもごくごく稀ですが、アナフィラキシーショックという命に関わる副反応が起きることがあります。(幸い私は経験がありませんが💦)

 

 

どんなワクチンでも、残念ながら副反応はゼロにはなりません。

 

確率的にはとても低いですが、接種数が多くなればその中で副反応の発生が起きてしまうことは避けられないでしょう。

 

けれど、年齢や体質だとか持病とか、あらかじめ副反応が起こることが予想される場合や、起こり得る副反応に備えることは可能です。

 

新型コロナのワクチン接種会場でも、あらかじめアナフィラキシーショックの発症を想定して、接種後30分ほどの待機場所や救急処置が行える体制が整えられているようです。

 

今回は、ワクチン接種後の副反応(ワクチンアレルギー)についてのお話しです。

 

ワクチンアレルギーとは、ワクチン溶液の中に含まれている病原体やアジュバントという免疫反応を強める働きをする物質に対して、体の中の免疫が過剰に反応して起きるアレルギー反応です。

 

重度の場合はワクチン接種直後~30分以内(まれに2相性に数時間〜3日以内)、軽〜中程度の場合は2~3日以内に発生します。

 

なので、元気だからと安心せずに、接種後3日ほどは様子を見ていていただきたいです。

 

 

1)⚠️注意が必要な場合⚠️

①子犬・子猫(生後3ヶ月以内)

②アレルギー体質(両親の体質も含む)

③チワワなどの超小型犬やMダックスなど

④当日の体調不良(発熱、嘔吐、下痢、食欲不振、元気がないなど)

⑤心臓病、腎臓病、呼吸器病、疾病治療中(接種は主治医と相談)

 

 

2)症状

軽度:発熱、元気低下、食欲不振など

中程度:部分的に瞼や鼻や口の周りや、顔全体が丸く腫れる(ムーンフェイス

    かゆみや、蕁麻疹のような発疹、吸気性や呼気性喘鳴、嘔吐、下痢

重度:呼吸ができない、体温低下、貧血のようにフラフラする、血圧が低下して立っていられず意識を失う、尿失禁、血尿

 

犬は肝臓と消化器系の、猫は呼吸器系の症状が出やすいようです。

皮膚症状を伴わずに、いきなりショック症状(呼吸・循環不全)となることもあります。

 

軽度のものは、ひょっとしたら病院に来たストレスによるものかもしれません(シャイな子)

 

 

3)治療

(アドレナリンや)抗アレルギー剤の注射後、必要に応じて症状に対する対症治療を行います。

 

重度の場合は緊急の処置や入院治療が必要で、治療を行っても症例によっては亡くなることがあり得ます。

 

なので、接種後30分くらいは病院の近くにいていただいて、異常があればすぐに来院できるようにしていただきたいです。

 

 

4)対策・回避策

①人間の都合ではなく、必ずワンちゃんやネコちゃんの体調の良さそうな日の午前中に接種され、その日はお出かけせずに体調を観察してあげてください。

 

②今までに(特に最近初めて)食物やお薬やワクチンなどによって、アレルギーを起こしたことのある子は、必ず先生にあらかじめその旨お話しください。

 

③ワクチン接種直後から2~3日は、興奮させたり、激しい運動や長時間のお散歩、シャンプーを控えてください。

 

④過去にワクチンアレルギーを起こしたことのある子は、ワクチン接種の前にあらかじめアレルギーを抑えるお薬を注射することがあります。

 

ワクチン抗体価検査の結果によって、混合ワクチン(犬・猫)接種の必要がない場合があります。

 

 

これから始まる狂犬病の予防接種は、注意が必要な子の場合は、集合注射ではなく、かかりつけの病院で先生の診察後に接種されることをお勧めします。

 

屋外の集合注射会場では、アナフィラキシーショックなどの重度のアレルギーに十分対応することが難しいからです。

 

そして、今まで大丈夫だったからといって今回も大丈夫とは限りません

 

油断せずに、接種後はしばらく様子を見ていてくださいね。😉

 

 

以上、動物たちの健康管理の参考にしていただけましたら幸いです。😊

 

 

※時々お問い合わせをいただくのですが、診察を伴わない個々のご質問にはお答え致しかねます。申し訳ありません。