糞便検査は日常的に行われている検査です。
寄生虫卵の検出は少なくなりましたが、下痢などの腸疾患の診断に有益で、主に、肉眼検査と顕微鏡検査が行われます。
1)肉眼検査
便量、硬さ、色、臭い、血液や粘液の混入・付着の有無、寄生虫体混入の有無をチェックします。
便量:多いときは小腸性下痢、少ないときは大腸性下痢
硬さ:硬すぎるときは便秘、柔らかすぎたり水っぽいときは下痢
色:茶褐色:正常、 暗赤色の血便:胃や十二指腸・小腸からの出血、 赤色の血便:大腸からの出血、 脂肪便(明るい色で油っぽい):小腸性下痢、 白色便:胆管閉塞が疑われる
臭い:強い悪臭は小腸性下痢
粘液:付着しているときはほとんど大腸性下痢
寄生虫:線虫(回虫など)、条虫(瓜実条虫やマンソン裂頭条虫など)の虫体
2)顕微鏡検査
a)直接法
最も一般的な検査で、スライドグラス上の少量の糞便を生理食塩水で希釈し、カバーグラスを乗せて顕微鏡で観察します。
寄生虫卵や原虫オーシストの有無、回転運動するらせん状菌(カンピロバクターの可能性)の有無、大型桿菌や芽胞桿菌(クロストリジウムの可能性)の有無、桿菌と球菌の割合などをチェックします。
ごく少量の糞便を検査材料とするために、産卵数や数が多い、回虫卵や糞線虫、マンソン裂頭条虫卵、コクシジウムのオーシストなどの検出は可能です。
それでも1回の検査では寄生虫の検出率は低く、産卵数の少ない寄生虫や小さな原虫類の検出には向きません。
b)飽和食塩水浮遊法
糞便を寄生虫卵よりも高比重の浮遊液(飽和食塩水)に溶かして、液の表面に寄生虫卵を浮遊させる方法です。
直接法よりも線虫卵や一部の条虫卵、コクシジウムのオーシストの検出率が高いです。
高比重の吸虫卵や裂頭条虫卵、幼虫が糞便中に出てくる線虫(糞線虫など)の検出には適しません。
c)硫酸亜鉛遠心浮遊法
ジアルジアの検出率が高い方法です。
直接法よりも効果的に寄生虫卵、コクシジウムのオーシスト、ジアルジアの有無を確認できます。
1回の検査のみでは寄生虫が検出されないことがあるため、場合によっては浮遊法を複数回行う必要があります。
下痢などの消化器症状の時だけではなく、皮膚疾患、呼吸器疾患の時にも必要なことがあります。(鉤虫感染時など)
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この検査では、尿の試験紙検査と糞便の直接法での顕微鏡検査を行っています。
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※時々お問い合わせをいただくのですが、診察を伴わない個々のご質問にはお答え致しかねます。申し訳ありません。