遅くなりましたが、皆さま、あけましておめでとうございます。
今年もどうぞ、私の拙いお話にお付き合いくださいませ。😉
先日、『監察医 朝顔』というドラマを見ました。
ドラマの放送後には、『狂犬病』が検索キーワードのトップになったようです。
すごい影響力ですね。😲
『狂犬病』、犬を飼っている方もそうでない方も、一度くらいは聞いたこと、ありますよね?😉
ドラマの中では、『狂犬病は発症すると100%死亡する恐ろしい感染症である』ということ(だけ)が強調されていたように感じました。
そのほかの狂犬病に関する情報は、
①御遺体の男性は、社員旅行で行ったセブ島(フィリピン)で(犬に咬まれて)狂犬病に感染した
②亡くなる前、性格が変わって怒りっぽくなっていた
③亡くなる直前、水を嫌う行動をしていて錯乱気味だった、ということだけ。
『狂犬病は発症すると100%死亡する恐ろしい感染症である』ということで、御遺体の男性が感染していたのが狂犬病であると分かった途端、医師である監察医全員が恐怖していたので、視聴者も不安になって大勢の人が調べた結果、『狂犬病』が検索キーワードのトップになったのでしょうね。🤔
ドラマの制作方法としては、これは正しいのかもしれません。
視聴者は、狂犬病という病気について、わからな過ぎて不安でモヤモヤしてしまったのでしょう。😳😱🥺
知りたい情報は、今はスマホで簡単に調べられますからね。
けれど、そこまで積極的でない人は、ドラマから得た情報が全てです。
私も『社員旅行でセブ島に行った』と言う情報を見逃しました。😓
私のようにちゃんと見ていない人は、ひょっとしたら日本にも狂犬病に感染している犬がいて、『自分も感染するかも』という不安を抱いたかもしれません。🥺
そんな方が、狂犬病の予防接種をまだ受けていない飼い主さんなら(感染するのが怖いから)早く受けさせなくちゃと思ってくださったかもしれませんが。😊
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の蔓延を防ぐ目的で、毎年春に行われていた狂犬病の集合注射が、日本中の多くの市町村で中止となりました。
その影響で、全国的に狂犬病予防注射の接種率が下がりました。☹️
なので、狂犬病の予防注射を受けていないワンちゃんが少なからずいるはずなのです。🥺
心配なのは、正しい知識もなく病気を恐れるあまり、動物への虐待につながらないかということです。🥺
ドラマの中では、医療従事者とその家族への根拠のない偏見や差別、迫害も描かれていました。😠
不安や恐怖の矛先が、犬に向かうことがあるかもしれません。
実際に先日、ノーリードで散歩されていた小型犬が通りすがりの人間に蹴り殺されるという、痛ましい事件がありました。
悪いのは、反撃できない弱い犬を蹴り殺した人間です。
けれど、もしも飼い主の方がきちんとリードをつけてお散歩をしていたなら、この事件は防げたかもしれません。やるせないです。
『おとなしい犬だからリードは必要ない』という言い訳は、『小型犬で散歩しないから予防注射は必要ない』と主張する人と同じ理屈に思えます。
さらにドラマの中でもう一つ引っかかったのは、『感染』と『発症』が曖昧にされていたことでした。私がそう感じただけでしょうか?
新型コロナウイルス感染症でも、『感染』していても無症状で『発症』しない不顕性感染の人がいるというように、その違いはおわかりですよね?
さらにヒトからヒトへの感染は、狂犬病に感染した人が他の人に噛みついたり、感染者から採血し終わったあとの針を誤って医療従事者が刺したりしてしまえばあり得るのでゼロではありませんが、可能性は極めて低いようです。
狂犬病ウイルスは感染動物の唾液中に多く存在し、人間は咬まれた感染部位が脳から遠いほど、発症するまでに何ヶ月、何年単位と時間がかかります。
脳に近い頭部や顔面を咬まれない限り、すぐに発症することはないでしょう。
日本以外の狂犬病常在国で、犬に咬まれたりして感染の可能性がある場合は、速やかに適切な処置(暴露後ワクチン接種)をすることによって、発症が抑えられるとされています。
ドラマのこの御遺体の方も、速やかに適切な処置をされていたなら、奥様とまだ生まれてもいない子供を残して亡くなることはなかったはずです。🥺
そういう知識を知ってさえいれば、防げた悲劇だったのですね。
個人的には、病気のせいとは言え安全ベルトを自ら外してビルの屋上から転落死したこの男性は、労災保険の適応になるのか?と気になりました。😅
感染したのは、社員旅行中のことですが、犬に咬まれたのに報告も治療もしなかった責任はあるでしょう。
海外旅行保険には加入していたでしょうけれども。😅
詳しい方にぜひ教えていただきたいです。🙂
※時々お問い合わせをいただくのですが、診察を伴わない個々のご質問にはお答え致しかねます。申し訳ありません。