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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)/長谷川動物病院
フタトゲチマダニ/厚生労働省HPより

 

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、中国で2011年、日本では2013年に、初めて報告された新しいウイルス感染症です。

 

SFTSウイルスを保有するマダニに刺されて、人や動物が感染・発症します。

 

ヒトの潜伏期間は6~14日、主な症状は発熱と消化器症状で、他には腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状、DIC、多臓器不全などです。

 

重症化し死亡することもあり、致死率は6~30%にもなる恐ろしい病気です。

 

致死率で言ったら、新型コロナウイルス感染症よりもずっと怖いです。😱

 

日本では、毎年60〜90名が発症し、これまでに70名以上がSFTSにより亡くなっています。

 

幸い新潟県ではまだ報告はありませんが、油断は禁物です。🤨

 

 

2017年3月以前は、SFTSに感染し発症するのは、ヒトだけだと考えられていました。

 

けれど2017年以降、猫、犬、チーターでの発症が確認されています。

 

この感染症は、飼育動物から人が感染する動物由来感染症の1つです。

 

日本では、九州、四国、中国、近畿地方など西日本を中心に、犬や猫などの飼育動物がSFTSを発症し、その感染動物から人が感染する事例が報告されています。

 

ヒトはウイルスを保有しているマダニに刺されたり、傷口や粘膜に感染した人や動物の唾液血液が接触することで感染します。

 

けれどインフルエンザのように、空気感染などにより、人から人へ容易に感染が広がることはありません

 

今年6月、広島の動物病院で体調不良の猫を診察した獣医師と看護師が、SFTSに感染・発症したことが報じられました。😣

 

同様な報告は、これまでも複数ありました。🥺

 

飼い主様同様に、私たち獣医療スタッフは、感染リスクが高いのです。😔😢

 

なので不本意ながら、スタッフの安全を守るために、野生動物や野良猫の診療をお断りする病院もあるようです。

 

この獣医師と看護師は、感染した猫の血液を介して(眼結膜から?)感染したようです。

 

マスクと手袋を装着していたそうですが、ゴーグルやファイスシールドをしていなかったということです。

 

治療を受けた猫は、その後に死亡したそうです。

 

ちなみに、感染した猫の致死率は60~70%、犬は29%という報告があります。

 

このように人に感染させるリスクのある動物は、人と同様の症状を呈していたことが確認されています。

 

なので、元気な猫から人が感染することはないと考えられています。

 

動物の症状は、ヒトとほぼ一緒です。

 

猫では、元気・食欲消失(100%)、黄疸(95%)、発熱(78%)、CK/CPK上昇(100%)、白血球減少(81%)、血小板減少(98%)、肝酵素AST/GOT上昇(91%)、嘔吐(61%)、下痢(7%)。

 

猫では、黄疸が多く、下痢が少ないことがヒトと異なります。

 

犬では、元気・食欲低下(100%)、発熱(100%)、白血球減少(100%)、血小板減少(100%)、肝酵素ALT/GPT↑(100%)、消化器症状(75%)。

 

犬では、不顕性感染(感染しても症状なし)が多いようです。

 

そして、定期的にマダニ駆除薬を投与されていた犬や猫でも感染が確認されています

 

なので、猫(犬)→猫(犬)感染が起こっている可能性があります。

 

猫(犬)→ヒト感染は、猫(犬)→猫(犬)感染と同様に、咬傷濃厚接触によって起きています。

 

今のところ、有効な治療薬やワクチンは存在しませんし、治療は対症療法のみとなります。

 

なので、感染しないようにヒト、犬、猫共に、予めマダニ予防を行うことが望ましいです。

 

マダニは河川敷や街路樹の草むらなどの、草の葉の裏側に隠れて、吸血対象となる動物が通るのを待ち構えています。

 

ちなみにマダニは肉眼で見ることができるダニで、成虫は吸血前が3~8㎜、吸血後に1~2㎝の大きさになります。

 

SFTSの他にも、日本紅斑熱ライム病ツツガムシ病ダニ媒介性脳炎などを媒介します。

 

家の中にいるコナダニやチリダニは、ダニの種類が違うので、SFTSの媒介者にはなりません。

 

なので外に出ない限り、他の動物と接触しない限り、犬や猫はこの病気にはなり得ません

 

人の体についてきた感染ダニに刺されれば、話は別ですが、そのような可能性はかなり低いでしょう。

 

ネコちゃんは絶対に、外に出さないように、脱走をさせないように。

 

それができないようでしたら、病院で処方されているマダニ駆除薬を定期的に投与してください。(外出をすればSFTSの予防は100%ではありませんが💦)

 

お散歩をするワンちゃんも同様です。マダニ駆除薬を投与してください。

 

ひょっとしたらモフモフのワンちゃんは、体にマダニをつけたまま、気づかれずに家の中にマダニを持ち込むかもしれませんからね。😰

 

そのマダニから、人間や猫ちゃんが感染するかもしれません。😱

 

人間も、野山やアウトドアに出かける場合は、皮膚の露出を極力避け、マダニの忌避剤などを使用されることをお勧めします。

 

マダニに刺されたら必ず感染するわけではありませんが、刺されないに越したことはありません。😉

 

そして体の不調を感じたら、お早めに医療機関を受診されてください。

 

そしてもしも、弱っている野生動物や野良猫を見つけたら。。見なかったことにはできないと思いますので、まずは動物病院か、動物愛護センター(保健所)にご相談ください。

 

その際に、直接体に触れないように、厚手の布(タオルケットやバスタオル)などで包み、咬まれたり舐められたりしないように気をつけてくださいね。

 

 

以上、皆様の健康管理の参考にしていただけましたら幸いです。😊

 

 

※時々お問い合わせをいただくのですが、診察を伴わない個々のご質問にはお答え致しかねます。申し訳ありません。