暖かいお鍋やおうどんのおいしい季節になりましたね。
ちなみに私はお蕎麦派で、先週食べた福島のお蕎麦がとっても美味しかったです。
福島のお蕎麦は1本の生のネギでお蕎麦をすくい、そのままネギごと頂くのです。
私はネギが食べられませんのでお蕎麦だけ頂きましたが、本当に美味しいお蕎麦でした。また食べたい!!
いけない。本題に戻りまして、わんこやニャンコさん達に側でジーって見つめられて、思わず「ちょっとだけだよ」ってあげちゃったりして。
でも、ちょっと待ってください。その中にネギが入っていませんか?
わんこやニャンコ、うさぎ、フェレット、ハムスター、モルモット、鳥などの動物を飼う人には常識と言える『(タマ)ネギ中毒』。
でもまだ意外と知らない人もいらっしゃるみたいですね。(最近、実際にいらっしゃいました!)
今回は知っておいていただきたい『(タマ)ネギ中毒』についてのお話です。
『(タマ)ネギ中毒』の正体は溶血性貧血。
身体中で血液中の赤血球という酸素を運ぶ細胞が壊される病気です。
中毒は、タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラ、アサツキなど、ネギ科の植物を加熱、非加熱に関係なく、スープだけでも食べた後に起こる可能性があります。
原因物質は、以前はアリルプロピルジスルフィドであると言われていましたが、現在では3種類の有機チオ硫酸化合物であるとされています。
これらの物質が動物の体内に吸収されると、赤血球内にある『ヘモグロビン』(全身に酸素を運ぶタンパク質)を酸素を運ぶことができない『メトヘモグロビン』に変化させ、やがて『ハインツ小体』(中毒や病気によって赤血球内にできる球状の物質)が作られて赤血球が壊され、ハインツ小体性溶血性貧血が引き起こされます。
こうなると呼吸をしても身体中に必要な酸素が供給されず、体が酸欠の状態になります。
具体的には、血尿(赤色やコーラ色)、可視粘膜の蒼白(歯茎や舌の色が白くなる)、呼吸促迫(呼吸が速くなり息苦しそう)、ふらつくなどです。
これらは食べた量にもよりますので、単に元気がない程度の子もいれば、普段と変わらない子もいるでしょう。
そのため『(タマ)ネギ中毒は大したことがないから普通に食べさせても大丈夫』とおっしゃる人もいます。
外見上は変化がないように見えても、食べた動物の体の中では確実に変化が起きています。
体が丈夫か、単純に我慢強いだけかもしれません。
それで安心して、あまり無茶をなさらないようにお願いいたします。
動物は体重1㎏あたり15~20gを超える量のタマネギを食べると中毒症状が現れると言われています。
玉ねぎ1個が200gとすると、5㎏で半分弱、10㎏で1個弱ですが、個体差がありますので油断しないでくださいね。
早い場合は1日程度、普通は3~4日で中毒の症状が現れます。
中毒の程度はタマネギに比べると、ネギやその他の野菜は弱いです。
またユリやチョコレート中毒に比べて死亡の可能性は低いとされていますが、これもあくまで一般論ですからくれぐれも楽観視しないでくださいね。
また柴犬と秋田犬は『(タマ)ネギ中毒』を起こしやすい犬種であるとされています。
この子たちの中には遺伝的に普通よりも大型の赤血球を持つ子がいて、中毒物質に敏感なので激しい溶血を起こすと言われています。
食べてしまったことがわかっていたり、すでに症状が現れているときは、お早めにご来院ください。
血液検査後に必要な治療を行いますが、点滴処置や、場合によっては輸血が必要になるかもしれません。
動物たちの健康管理の参考にしていただけましたら幸いです。
※時々お問い合わせをいただくのですが、診察を伴わない個々のご質問にはお答え致しかねます。申し訳ありません。